祈りの対象物となる
形のないものに形を与え、
自らがすがれるものを視覚化したい
陶芸家になる前から、歴史や伝統が継承されて現代へと残る伝世品や文化的背景をもつものや、土着文化や宗教的象徴物への関心が強かった西久松さん。
見えないもの不可視なものに対する恐怖や自然への畏敬の念から、自身がすがれる偶像のような存在を視覚化したいという思い。それらの要素を象形して再構築された作品からは、様々な文化や宗教性を感じることができます。
西久松さんが陶芸をはじめたのは大学生のころからです。日本画家だった両親の影響もあり、高校では日本画を学んでいましたが、絵だけではなくものづくりに興味が湧き、大学では陶磁器を専攻します。大学で教わった、陶芸家の秋山 陽先生のアドバイスもあり、直感で選んだ陶芸にすぐに魅了されたそうです。
作品づくりに大きく影響を与えた
身近な愛犬の死
「阿迦 桃(あか もも)」は、骨壷として2021年から制作されてきた、珠(マニ)シリーズのなかの作品です。 珠シリーズができたきっかけは、長年可愛がっていた愛犬の死でした。
それまであった鼓動や温もりがなくなった状態にまず違和感を覚え、火葬されたあとの遺骨をみて、肉体は魂の器(容れ物)だということを改めて痛感したそうです。そして、白い骨壷に遺骨を拾って入れる際になんともいえない味気なさを感じたといいます。命が生きた証、尊いものをおさめる器の必要を感じ、そこから骨壷としての作品作りをスタートします。
生活の中心が制作になっているなかでの愛犬の死は、作品づくりに大きく影響を与えました。
特徴
features
歴史や伝統からインスピレーションを得た神秘的なフォルム
阿迦の蓋上部に付いている、先が少し尖った丸みを帯びたパーツはストゥーパをモチーフにしています。
日本では仏塔とも呼ばれていますが、ストゥーパとは仏舎利(お釈迦様の遺骨)が埋葬された建築物のことです。古代インドで作られたストゥーパは、仏教の教えと共に世界に広がり様々な形に変化していきました。
特徴的なシンボルをもつ阿迦は、現在5色展開されています。そのなかでも「阿迦 桃」は、蓮の桃色にストゥーパの青銅色と金彩が映える、柔らかな色彩の作品です。
以前は、装身具や兜などをモチーフにしたダイナミックな作品を手掛けていましたが、死生観を意識することで、仏具や神具に直結する精神世界を表現した作風に変化してきたそうです。次第に、複雑で柔らかな色を使うことが多くなり「蓮の花」を取り入れた作品も増えていきました。
計画性と高い技量が求められる
緻密な細工
西久松さんの作品でまず驚くのがパーツの多さです。
細かなパーツひとつひとつをろくろを使いながら成形していきます。種類が多い分、重ねたときに下に影響しないよう、厚みなどを細かく計画することが非常に重要です。
これらを組み合わせながら全体像を構築し、1ヶ月ほど乾燥をさせたあとで、1回目の素焼きをおこないます。乾燥が足らないと焼成中に作品が壊れてしまうため、素焼きの前にしっかり乾燥させる「炙り」という工程を挟むことも。窯から出した作品に釉薬を施し、本焼成をおこない、最後に金彩やプラチナを塗り、上絵焼成をしてようやく作品が出来上がります。
窯に入れて焼成することによって、作者自身ですら介入できない人智を越えた領域に達します。窯から出てきた作品に対して神秘性を感じているというのにも頷けます。
白い磁器に美しく映える釉薬
素焼きのあとに作品に塗布する釉薬はとても繊細です。
窯の温度の変化や、調合を10g変えただけでもまったく違う色味になってしまうことがあります。最近は複雑な色味を使うことが増えてきたので、調合がよりシビアになったそうです。
作家さんによっても様々ですが、西久松さんは原料から購入して釉薬を作っています。原料の石の粉を機械を使って、2〜3時間ほどしっかり混ぜていきます。この時に、セラミックのボールを入れて混ぜることで、石の粒が細かくすり潰されて、滑らかな釉薬に仕上がります。
白い磁器のなかでも、特に白さが強い瀬戸の粘土を使用しているので、釉薬の発色が際立ちます。
作品のイラストが描かれた、
桐箱に梱包してお届け
作品は、西久松さんがご自身が描かれた阿迦 桃のイラスト付き専用桐箱に収めてお届けさせていただきます。
ひとつひとつ丁寧に描かれたイラストは作品ごとに異なります。
大切な作品を保管いただく際に、ぜひご使用ください。
作品の色味について
※撮影環境、モニター等により画像と実物では多少色味が異なって見える場合があります。
陶芸作家紹介
西久松友花氏 プロフィール
1992年 京都府生まれ。
2018年 京都市立芸術大学大学院美術研究科陶磁器専攻修了。
2022年「化生」(芝田町画廊 / 大阪)など個展多数。
2017年「Kyoto Art for Tomorrow – 京都府新鋭選抜展」(京都文化博物館)18,19,23年
2020年「京芸 transmit program」(京都市立芸大ギャラリー@KCUA)
2021年「国際工芸アワードとやま」(富山県美術館)
2022年「かめおか霧の芸術祭」(大本本部 春陽閣 / 京都)、「KYOTO ART LOUNGE EXHIBITIONベールの光景」(COCON KARASUMA 2Fアトリウム / 京都)、D-art,ART2023(大丸東京店)、幸山ひかり・西久松友花 二人展「とどまるもの、とどまらないもの」(真言宗御室派総本山仁和寺 / 京都)
などグループ展やアートフェアに多数参加。
詳細
spec
底の面積が広く
置いたときの安定感が違います
美しいフォルムとやさしい色彩の「阿迦 桃」は、骨壷はもちろんのことインテリアとしてもお楽しみいただけます。
底も広いので安定感があります。開口部は直径95mm、深さも40mmあるのでミニ骨壷のなかでは大きめのサイズ感です。骨壷には直接、ご遺骨やご遺灰を入れていただいて構いません。
万が一、倒したり落としたりしないか心配だという方は、布に包んでから収めていただくようお願いいたします。
なお、別売りの巾着袋も取り扱っておりますが、こちらはサイズが小さいのでご注意ください。
※阿迦 桃のお取り扱いは1点のみです。限定品となっておりますのでお早めにお買い求めください。
【サイズ(約)】
- 全体
- 横幅115×高120×奥行115mm
- 蓋
- 横幅103×高80×奥行103mm
- 収納部分
- 横幅115×高45×奥行115mm
- 収納の深さ
- 40mm
- 容量
- 320ml
- 本体重さ
- 360g
【その他 詳細】
- 素材
- 磁器、釉薬、プラチナ、金
- 生産地
- 京都府 京都市
- 付属品
- 手袋、取り扱い説明書
貫入(かんにゅう)について
よく見ると、蓋の両面にうっすらと貫入が入っておりますが、こちらは割れたとき発生するひびや傷とは異なりますのでご安心ください。
貫入とは釉薬と素地の収縮率の差により、焼成後の冷却時に生じた釉薬のひび模様のことで、器が割れたとき発生するひびや傷とは異なります。
高温で本焼きをする際に、釉薬が溶けてガラスのような層となって磁器の上を覆います。焼成後、窯の温度が下がる時に、磁器と釉薬とで収縮度が異なるため、この差が大きくなったときに釉薬がひびのような状態になって固まります。
ご遺骨をミニ骨壷に収めるときの注意点
ついかの取り扱うミニ骨壷には、綿100%の手袋(M・L・LLサイズいずれか)を1双お付けしております。ご遺骨をミニ骨壷に移し替えるときは、付属の手袋もしくは乾いたお箸などを使用してください。
ご遺骨を直接素手で触ると、手指についていた脂や汚れが付着し、そこからカビが生えてしまうことがまれにあります。
高温で焼かれたご遺骨はたいへんもろく、水分を吸着しやすい状態になっております。よく手を乾かしてから手袋を付けるようお願いいたします。
お手入れ方法
care
毛ばたきなどで軽くほこりを払うか、やわらかい布で拭いてあげてください。
汚れが取れない場合は、水洗いしていただいても構いませんが、しっかり乾かせたあとで納骨していただくようお願いいたします。
保管場所について
Storage
ご遺骨を入れたあとは、風通しが良く、湿気の少ない場所で保管してください。
気温差が生じやすい窓際や、直射日光が長時間当たる場所も避けてください。
骨壷自体に過剰な重さがかかる状態や、不安定な場所でのご使用は避けてください。
自宅などの屋内での手元供養用品です。お墓や屋外でのご使用には適しておりません。
返品・交換について
ついかの商品は、職人の手によりひとつひとつ仕上げられた「一点もの」のお品です。
イメージと違った、注文を間違えたなど、お客様側の理由によるご返品・交換は受け付けておりません。詳しくはこちらをご覧ください。
商品コード:TK-TN-AM-12302
[通常販売商品]
陶磁器製 作家作品 西久松友花 阿迦 桃【限定品】
¥137,500
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